QRコードは日本発の技術だ。1994年、デンソー(現デンソーウェーブ)の開発チームが、自動車部品の生産ラインで部品を高速に読み取るために考案した。バーコードでは数字20桁程度が限界だったのに対し、QRコードは同じスペースに数百倍の情報を詰め込め、しかもどの角度からでも一瞬でスキャンできる——「Quick Response」という名前はここに由来する。
自動車工場から生まれた設計思想
当時のデンソーの工場では、一つの部品箱に複数のバーコードを貼らざるを得ず、読み取りに時間がかかることが課題だった。開発者の原昌宏氏は、囲碁の盤面からヒントを得て、位置検出パターン(隅の3つの四角)を持つ正方形のコードを設計したという逸話が知られている。特許は取得したものの、デンソーウェーブは早い段階でこれを無償で公開し、誰でも自由に使える規格として広めた。これが今日世界中でQRコードが普及した大きな理由の一つだ。
誤り訂正レベルという安全マージン
QRコードにはL・M・Q・Hの4段階の誤り訂正レベルがあり、それぞれ約7%・15%・25%・30%までのデータ破損があっても正しく読み取れるよう設計されている。工場の生産ラインでは、部品に汚れや傷がついてもスキャンできるよう、高めのレベルが選ばれることが多い。
リード・ソロモン符号の仕組み
この誤り訂正を支えているのがリード・ソロモン符号で、CDやDVD、衛星通信でも使われてきた技術だ。データを冗長性を持たせたブロックに分割するため、一部のブロックが読めなくても元のメッセージを完全に復元できる。
こんな場面で役立つ
- URL、Wi-Fi設定、名刺情報などをQRコードにすぐ変換する。
- ロゴを重ねたり小さく印刷したりする場合に、適切な誤り訂正レベルを選ぶ。
- 多少汚れたり傷ついたりしたQRコードでも、なぜ問題なく読み取れるのかを理解する。
数字・英数字・バイトモードの違い
QRコードには複数の符号化モードがあり、選んだモードによって同じサイズのコードに収まる文字数が変わる。数字のみを扱う数字モードが最も効率的で、大文字アルファベットと一部記号を扱う英数字モードがそれに次ぎ、日本語を含む任意のテキストを扱うバイトモードは1文字あたりの容量を最も多く消費する。長い日本語のメッセージをQRコードにすると、同じ長さの数字列よりも密なパターンになるのはこのためだ。